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[読みたい論文] C−Hボリル化: 先住民と移住民

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Posted: August 27, 2019

Boryl-Directed, Ir-Catalyzed C(sp3)−H Borylation of Alkylboronic Acids Leading to Site-Selective Synthesis of Polyborylalkanes (Yamamoto, Takeshi; Ishibashi, Aoi; Suginome, Michinori)Org. Lett. 2019, 21 (16), 6235−6240.

Keywords: Ir; Bpza; Bpin; PTSA; C−H bond activation; cod; Suginome, Michinori


アルキルホウ素化合物のC−H結合活性化を経るボリル化について報告しているようです。Ir触媒下で進行します。Supporting Informationには具体的な触媒が直接書かれていない(私が読みきれていない可能性大)っぽいのですが、[Ir(OMe)(cod)]2かなという気はしており、本文を読んで確認をしたいところです。2段目の反応で「元からある」ボリル基の部分をピナコールエステルに変換しています。

基質のアルキル基のどのC−H結合が優先的に活性化されるかがC−H結合活性化反応での重要なテーマの一つでもあるわけですが、この論文の反応では、ホウ素原子が結合した炭素原子とボリル基が結合した生成物が得られており、ここのC−H結合は一番反応しやすいということなのでしょう。

そして、ホウ素原子が結合した炭素のC−H結合が複数ある場合には、複数のボリル基が入り、例えば基質のアルキル基がメチル基の場合には下のような化合物の生成する模様。


Supporting Informationを読んで行くと、いろんな種類のアルキルホウ素化合物について反応を試しており、これらの結果からボリル基が入りやすい(=入りにくい)C−H結合がどのようなものなのかを丁寧に調べているのだろうと想像しました。この論文、私の妄想ではありますが、J. Am. Chem. Soc.などのよりハイレベル(?)な雑誌に投稿・リジェクトされてたんじゃないかと。

読み応えがありそうなので、読みたい論文に追加です。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

1972年はこんな年

人名反応など
Baylis−Hillman反応Bergman環化 [Doi 1]
Corey−Fuchs反応 [Doi 1]
Corey−Kim酸化 [Doi 1]
Hemetsbergerインドール合成 [Doi 1]
Ireland−Claisen転位 [Doi 1]
Kumada−Tamao−Corriu カップリング [Doi 1]
Nicholas反応 [Doi 1]
ノーベル化学賞
リボヌクレアーゼ分子の構造に関する研究
(Christian Boehmer Anfinsen, Stanford Moore, William Howard Stein)
できごと
札幌オリンピック
グアム島で元日本陸軍兵士横井庄一発見
小僧寿し本部設立
あさま山荘事件
惑星探査機パイオニア10号打ち上げ
似鳥家具店(ニトリ)設立
モスバーガーの第一号実験店舗が開店
山陽新幹線・新大阪駅−岡山駅間開業
高松塚古墳で極彩色壁画の発見
アメリカから日本へ沖縄返還、沖縄県発足
労働安全衛生法施行
「日本列島改造論」発表
ウォーターゲート事件
ポンドの変動相場制移行
最高裁判所で日照権が初めて認められる判決
ハイセイコーがデビュー
「シビック」発売(本田技研工業)
「ビッグコミックオリジナル」創刊(小学館)
「太陽にほえろ!」放送開始(日本テレビ)
ランドサット1号打ち上げ
「カシオミニ」発売(カシオ計算機)
「必殺仕掛人」放送開始(朝日放送)
「オセロ」発売(ツクダオリジナル)
自動車の初心者マークが制定
「すし太郎」発売(永谷園)
日本の鉄道開業100年
八丈島東方沖地震(M7.2)
昭和47年7月豪雨
「ゴッドファーザー」公開

 

きょうのどうぶつ

ここの画像を使用しています。

雨を待つカメ。多分外来種。

 

計算終わりました

 

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