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[読みたい論文] アロイルシランから脱カルボニルを経てアリールシランを合成します

Viewed: 07:52:18 in July 11, 2025

Posted: December 10, 2019

Nickel-Catalyzed Synthesis of Silanes from Silyl Ketones (Srimontree, Watchara; Lakornwong, Waranya; Rueping, Magnus)
Org. Lett. 2019, 21 (23), 9330−9333.

Keywords: Ni; cod; PnBu3; Zn; PhC(O)SiMe3; 読みたい論文シリーズ; 有機化学; ブログ


また"late-stage functionalization"というキーワードが。

ニッケル触媒下でのアロイルシランの脱カルボニル化に関する論文のようです。反応の様式がシンプルなので、Graphical Abstractもシンプルです。生成物はアリールシラン。「分子内」でアリール炭素−ケイ素結合が形成すると要旨テキストにありますが、交差実験などを行って確認したと言うことでしょうか。

基質のアシルシラン、どうやって合成してるのだろうとSupporting Informationを見ました。アルデヒドが出発化合物なのですね。ジチオアセタールにして塩基とクロロシランを反応させて、ジチオアセタールをカルボニルに戻す、と。極性変換というやつですね。Synthon。

で本チャンの反応。ニッケル触媒としてはNi(cod)2で10mol%とはちょっと多いね、配位子としてホスフィン系・単座のPnBu3、亜鉛…

 

ん?亜鉛ですか。しかも基質に対して2倍?

亜鉛がなくても生成物はそこそこの収率で得られているのに、収率向上のためとはいえ亜鉛を、ですか。謎です。確かにニッケル/亜鉛の触媒系は以前からあるんだけど、もしかして触媒サイクル上の遊んでいる2価のニッケルを亜鉛で還元して0価に戻すとか、そういう目的で使っているとか。

色々妄想して仕方がないので、本文を読んで反応機構と亜鉛使用の意図を知りたいところです。そんなわけで読みたい論文に追加です。

基質の適用範囲の広さ…お、おぅ。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

きょうのどうぶつ

ここの画像を使用しています。

ミケの正面顔。

 

計算終わりました

 

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