[読みたい論文] アルデヒドとマロン酸モノエステルの脱炭酸縮合
Viewed: 07:21:36 in July 11, 2025
Posted: August 5, 2019
Synthesis of α,β-Disubstituted Acrylates via Galat Reaction (Xavier, Tania; Condon, Sylvie; Pichon, Christophe; Le Gall, Erwan; Presset, Marc)
Org. Lett. 2019, 21 (15), 6135−6139.Keywords: morpholine; 4-dimethylaminopyridine; Presset, Marc
モルホリン触媒下でのアルデヒドとマロン酸モノエステル(論文中ではハーフエステルと書いている)の脱炭酸縮合に関する論文のようです。生成物はα,β-不飽和カルボン酸エステル。「フリー」のマロン酸での検討はしていないっぽい。
反応自体はGraphical Abstractに示されている通りシンプルなのですが、Supporting Informationを読んで行くと酢酸やDMAPが入っていたりで、モルホリンの触媒としての力が若干弱いのかなと言う気もします。何より気になるのが「どう言う経緯でモルホリンを触媒として採用するに至ったのか」と言う点。何か別の反応を期待していたのかなあとか、類似の化合物を色々検討した結果なのかなとか思ったりもしてます。
要旨だけ見ていると、なんでこれがOrg. Lett.にアクセプトされたのかなあと、SynlettやTetrahedron Lett.とかの方がいいんじゃないかなあと思ったのですが、本文中にもっとインパクトがある記述があるかもしれないので、読みたい論文に追加です。
「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。
専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。
人名反応など
Asinger反応
[Doi 1]
Brownヒドロホウ素化
[Doi 1]
Doering−LaFlammeアレン合成
[Doi 1]
Lawesson試薬
[Doi 1]
Lemieux−Johnson酸化
[Doi 1]
ノーベル化学賞
気相系の化学反応速度論(特に連鎖反応)に関する研究
(Sir Cyril Norman Hinshelwood, Nikolay Nikolayevich Semyonov)
できごと
「自動車損害賠償保障法」(自賠責法)施行、自賠責保険の強制加入
「週刊新潮」創刊(新潮社)
日本で初の人工心肺を用いた開心術成功(大阪大学)
水俣病第一号患者公式確認
日本登山隊がマナスル初登頂に成功
気象庁発足(中央気象台から改称)
日本初の台所用洗剤「ライポンF」発売(ライオン油脂=ライオン株式会社)
第二種運転免許、大型自動車運転免許が施行
東急ストア設立
日ソ共同宣言
大阪の通天閣が再建
東京飲料(東京コカ・コーラボトリング)設立
日本初の漫画週刊誌「週刊漫画TIMES」創刊(芳文社)
日本が国際連合に加盟
IBMが世界初のハードディスクを発売(5MB)
ここの画像を使用しています。

空中を舞うアゲハ。
あわせてどうぞ
2019年の記事一覧お仕事関係の記事のリストです(2019年)。
読みたい論文シリーズ− 2019年3Q読みたいけと読んでいない論文を、構造式を描きながら紹介します(2019年7〜9月)。
[読みたい論文] Pd触媒下でシリルエノラートをアリール化します試薬が鬼のように入っとる。
J. Am. Chem. Soc. 2019,
141 (30), 11749−11753.
[読みたい論文] フルオロアレーンからスタートする手堅いインドール合成窒素源はニトリル。
Angew. Chem. Int. Ed. 2019,
58 (32), 11033−11038.
[読みたい論文] 炭酸ビニレンとアリールボロン酸から2-アリールアセトアルデヒドを合成しますIr触媒下での反応。
Angew. Chem. Int. Ed. 2019,
58 (32), 11054−11057.
[読みたい論文] 鉄ピンサー触媒がアレーンをボリル化します。C−H結合活性化。ラジカル的ではなさそう。
Chem. Lett. 2019,
48 (8), 898−901.
[読みたい論文] 5価リンが中心にあるジカチオンの構造とルイス酸触媒としての機能−そこじゃない手書きルパンの動画を思い出した。
Chem. Commun. 2019,
55 (61), 8971−8974.
[読みたい論文] 金属触媒を使わずにベンジル炭素−水素結合を活性化してカルボキシル基を導入しますこの頃流行りのLED。
J. Am. Chem. Soc. 2019,
141 (29), 11393−11397.
[読みたい論文] 両者金属のルイスペア果たして特有の反応性は見つかったのか。
Chem. Commun. 2019,
55 (59), 8812−8815.
[読みたい論文] 基質の立体が綺麗に反映されるFriedel−Crafts型アリル化反応反応の「もう一つの」美しさ。
Chem. Commun. 2019,
55 (59), 8635−8638.
[読みたい論文] マグネシウムでベンゼン環C−Hをヒドロキシル化します窒素原子がいい仕事をします。
Org. Lett. 2019,
21 (14), 5373−5377.
[読みたい論文] アルミニウムアニオンがベンゼンの炭素−炭素結合をぶった切りますアニオンもカチオンもでっかい。
J. Am. Chem. Soc. 2019,
141 (28), 11000−11003.
ペプチドのような
(村井君のブログ)
http://murai-kun.cocolog-nifty...
原油の天然成分の
(村井君のブログ)
http://murai-kun.cocolog-nifty...
現存する麻酔剤は
(村井君のブログ)
http://murai-kun.cocolog-nifty...
RNAサイレンシングの実行因子であるアルゴノートタンパク質の分解機構を解明 特定の遺伝性疾患の病態理解にも可能性
(東京大学)
https://www.u-tokyo.ac.jp/focu...
120 年の謎・がんの「鬼の目」を閉じるには? -がんのエネルギー産生と配分の仕組みを発見-
(広島大学)
https://www.hiroshima-u.ac.jp/...
糖鎖の複雑化を調節する仕組みを発見 バイセクト糖鎖がブレーキ役
(広島大学)
https://www.hiroshima-u.ac.jp/...
糖鎖の複雑化を調節する仕組みを発見 バイセクト糖鎖がブレーキ役
(岐阜大学)
https://www.gifu-u.ac.jp/about...
トラウマ記憶忘却による簡便な心的外傷後ストレス障害(PTSD)改善方法の開発
(東京大学)
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/to...
光の屈折の新現象を発見 〜往路と帰路で光の経路にずれ〜
(東京大学)
http://www.k.u-tokyo.ac.jp/inf...
ベトナム・メコンデルタにおける固体酸化物形燃料電池(SOFC)の実証研究 ~バイオガスの供給により世界最高レベルの発電効率 62.5%を達成~
(九州大学)
http://www.kyushu-u.ac.jp/f/36...
植物がDNA損傷から身を守る、新規のエピジェネティクス制御メカニズムを解明 〜植物に多様なストレス耐性を付加でき、食糧生産にも貢献できる〜
(東京理科大学)
https://www.tus.ac.jp/mediarel...
藻類のオイル生産を制御する因子を同定 −有用脂質生産の自在制御に向け大きな一歩−
(京都大学)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/re...
生殖細胞のシグナル異常が老化に伴う精子形成異常を誘導することを発見 −精子幹細胞の老化機構の解明−
(京都大学)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/re...