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塩化セリウムと有機リチウムから作った有機セリウムとハロゲン化アルケニルまたはハロゲン化アリールを反応させ、続けて有機基がホウ素原子に結合したピナコールボランを反応させると、有機基とアルケニル基の炭素−炭素結合が形成するという論文のようです。有機セリウムの調製法についても検討しているようで、CeCl3•2LiClからのものを使ったりしています。
塩化セリウム/有機リチウムといえばImamoto reagentですよね。エノール化しやすいカルボニル化合物に対しても求核剤として機能してくれる、便利な試薬です。この論文の要旨でも触れています。
この論文の反応、d-ブロック遷移金属などの触媒が不要なのが売りのようです。セリウムをたくさん使用しますが、この反応で合成したい化合物の価値とのバランスになるのでしょう。
ピナコールボランに結合した炭素の立体が保持されるのか、反転するのか、要旨中に"enantiospecific"とありますのでどちらかだとは思うのですが、Supporting Informationで一例見た限りは"保持"でしょうか。基質依存性があるかもしれませんので、論文本体を見る必要がありそうです。
出発のハロゲン化アルケニルのE/Zが維持されるのかも気になりますね。速度論的支配下で止まるのか、熱力学的に安定な異性体に転換するのか。そんなわけで、読みたい論文に追加です。
Keywords: BPin; Didier, Dorian